2016年9月30日金曜日

高橋君のフレーム製作編 『チェーンステーの取り付け』

12回目の投稿をします。高橋です。

前回までの投稿で、前三角が形になりました。
今回の投稿は『チェーンステーの取り付け』を行います。

最初にリアエンドの下準備をします。

今回使用するリアエンドはSunrise cyclesのオリジナルエンドです。

このエンドの材質はS45Cで、レーザーカットで成形したものです。

レーザーカットした部材はレーザーの熱による酸化皮膜で黒くなっています。
酸化皮膜を取り除く為にトイレ用洗剤のサンポールを使います。

サンポールにエンドを浸して、しばらく待つと酸化皮膜が落ちるので便利です。 





酸化皮膜を落としたエンドにステンレスプレートを貼ります。

ドライブ側のプレートがまだ出来上がっていないので、届き次第、貼ります。

他の部分はステンレスのワッシャーを銀ロウでロウ付けします。 

ステンレスのワッシャープレートを貼り付けます。



ワッシャーを貼り付けたら、割りを入れます。 

クイックリリースの入る部分は削ります。


次にエンドにネジ山をたてます。

エンドにはキャリア用ダボ穴とリアディレーラー用の下穴が開いているので、タップでネジ山をたてます。

キャリア用のネジ穴はM5×0.8
リアディレーラー用のネジ穴はM10×1.0
のタップを使います。

エンドの準備が出来たら、次にチェーンステーの加工をします。


チェーンステーを加工するときに、必ずチェックしなくてはいけない箇所があります。

・タイヤとのクリアランス
・チェーンリングとのクリアランス
・クランクアームとのクリアランス


各クリアランスは使用するパーツにより変わってくるので、その都度確認が必要です。

実寸を図を作成して、クリアランスを確認していきます。 

毎回使用する部品に合わせて図をおこします



チェーンステーを図に当ててみると、タイヤ、チェーンリング、クランクアームが当たってしまいます。


今回はBB寄りに曲げを入れます。
チェーンステー図に曲げの具合を書き入れます。


曲げ箇所をチェーンステーにマーキングします。 


マーキングして、砂を詰めます。



径の太いパイプを曲げる場合は、パイプの中に砂を詰めて、火で炙りながら曲げていきます。砂を詰めることにより、パイプにシワがよるのを防ぐためです。


パイプの片端に栓をして、ジョウゴで砂を詰めていきます。
砂がしっかりと詰まっていないと、曲げたときにシワがよってしまうので、注意が必要です。


砂がしっかりと詰まったら、ガムテープで蓋をします。


万力にセットして、曲げていきます。 



真横から炎を当てます。


こんな感じで炙ります。



曲げる箇所のパイプの中央に、直角に火を当てます。

火を1箇所に当てるのではなく、ゆっくりとずらしながら、均一に温度を上げていきます。

温度が上がってきたら、じんわりと力を入れて、曲げていきます。
この時に、急に力を入れるとシワがよったりするので、徐々に曲げます。

イメージに近い曲がり具合になったら、一旦、万力から下ろし、チェーンステー図で、曲がり具合を確かめます。


反対側も同じように曲げます。




チェーンステーが冷めたら、両方のチェーンステーを定盤で重ねて、曲がり具合が同じようになっているか確認します。


チェーンステー図にチェーンステーを当てて、再度、各クリアランスが確保されている事を確認します。


各クリアランスが確保されていれば、エンド側に割りを入れます。


割りの箇所を確認するために、チェーンステー用の治具にエンドをセットし、どの角度で、どれ位深く割りを入れるかマーキングします。


リアエンド用の治具


マーキングにそって割りを入れます。


治具を設計図通りにセットし、チェーンステーを治具に載せます。 




微調整をして、抑えで、チェーンステーが動かないように固定します。



治具に載せたまま仮付けをします。

エンドの上下2箇所を仮止めして、エンドの角度などを確認。良ければ、ロウ付けします。 

上下2箇所留めます。


チェーンステーの中に、充分なロウが流し込めていることを確認して、終了です。
 
エンドのデザインをするため、少し多めにロウを盛ります。


冷えたら、フラックスを落として仕上げをします。 

仕上げが終わりました。



再度、チェーンステー用治具にセットします。
治具をそのまま横フライスに載せて、BB側のザクリをします。 

セットします。

ザグリました。


バリをとります。


ザクリが終わったら、バリを取っておきます。

次に、完成している前三角とチェーンステーを合わせます。

治具に前三角とチェーンステーを、治具にセットします。 



BBとチェーンステーの間に多少隙間があります。


前三角に当たるまで、前に押して、チェーンステーとBBの隙間を確認します。

今回は、右側が若干長かったので、少し削ります。

再度チェーンステーをBBに押し当てて、隙間を確認。
隙間がなくなるまで行います。

隙間がなくなったら、隙間の確認用に用意しているクランクを当ててみて、必要なクリアランスがあるか確認します。 

ダミーのクランクを入れて、確認します。


インナーチェーンリングとの隙間が小さいので、潰しを入れることにします。

潰しを入れる箇所にマーキングをして、万力に挟んで、潰しを入れます。 

左側の半円の板で潰します。

再度、治具にセットして、クリアランスを確認します。

充分なクリアランスが出来たので、次に、BBに水抜き穴を開けます。

チェーンステーの当たる部分をマーキングして、φ6mmの水抜き穴を開けます。 



水抜き穴を開けたら、再度治具にセットし、仮付けをします。

上下2箇所を仮付けします。 
 
上側

下側



仮付けをしたら、定盤で確認をします。 




ダミーシャフトに刻まれた線が中心線で、計測器の尖った先端が定盤の表面から120mmの高さにセットされているので、この線と先端が合うように、修正します。 


少し基準より下がっています。


修正しました。 

ぴったり。


チェーンステーに捻れもチェックします。
少し捻れていたので修正します。 

チェーンステーを平行にします。


ロウ付けは下図の方向に進みます。

エンド側から見て。




BB周りのロウと段差がないように盛っていきます。  




ロウ付けが終わり、冷めたら再度、定盤で確認・修正をし、フラックスを落として仕上げをします。

左右のチェーンステーのロウの高さ、傾斜が同じになるように仕上げます。
(仕上げ後の写真を撮り忘れてしまいました)


次回は、『シートステーの取り付け』を投稿いたします。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

高橋


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