12回目の投稿をします。高橋です。
前回までの投稿で、前三角が形になりました。
今回の投稿は『チェーンステーの取り付け』を行います。
最初にリアエンドの下準備をします。
今回使用するリアエンドはSunrise cyclesのオリジナルエンドです。
このエンドの材質はS45Cで、レーザーカットで成形したものです。
レーザーカットした部材はレーザーの熱による酸化皮膜で黒くなっています。
酸化皮膜を取り除く為にトイレ用洗剤のサンポールを使います。
サンポールにエンドを浸して、しばらく待つと酸化皮膜が落ちるので便利です。
酸化皮膜を落としたエンドにステンレスプレートを貼ります。
ドライブ側のプレートがまだ出来上がっていないので、届き次第、貼ります。
他の部分はステンレスのワッシャーを銀ロウでロウ付けします。
ステンレスのワッシャープレートを貼り付けます。 |
ワッシャーを貼り付けたら、割りを入れます。
クイックリリースの入る部分は削ります。 |
次にエンドにネジ山をたてます。
エンドにはキャリア用ダボ穴とリアディレーラー用の下穴が開いているので、タップでネジ山をたてます。
キャリア用のネジ穴はM5×0.8
リアディレーラー用のネジ穴はM10×1.0
のタップを使います。
エンドの準備が出来たら、次にチェーンステーの加工をします。
チェーンステーを加工するときに、必ずチェックしなくてはいけない箇所があります。
・タイヤとのクリアランス
・チェーンリングとのクリアランス
・クランクアームとのクリアランス
各クリアランスは使用するパーツにより変わってくるので、その都度確認が必要です。
実寸を図を作成して、クリアランスを確認していきます。
毎回使用する部品に合わせて図をおこします |
チェーンステーを図に当ててみると、タイヤ、チェーンリング、クランクアームが当たってしまいます。
今回はBB寄りに曲げを入れます。
チェーンステー図に曲げの具合を書き入れます。
曲げ箇所をチェーンステーにマーキングします。
マーキングして、砂を詰めます。 |
径の太いパイプを曲げる場合は、パイプの中に砂を詰めて、火で炙りながら曲げていきます。砂を詰めることにより、パイプにシワがよるのを防ぐためです。
パイプの片端に栓をして、ジョウゴで砂を詰めていきます。
砂がしっかりと詰まっていないと、曲げたときにシワがよってしまうので、注意が必要です。
砂がしっかりと詰まったら、ガムテープで蓋をします。
万力にセットして、曲げていきます。
真横から炎を当てます。 |
こんな感じで炙ります。 |
曲げる箇所のパイプの中央に、直角に火を当てます。
火を1箇所に当てるのではなく、ゆっくりとずらしながら、均一に温度を上げていきます。
温度が上がってきたら、じんわりと力を入れて、曲げていきます。
この時に、急に力を入れるとシワがよったりするので、徐々に曲げます。
イメージに近い曲がり具合になったら、一旦、万力から下ろし、チェーンステー図で、曲がり具合を確かめます。
反対側も同じように曲げます。
チェーンステーが冷めたら、両方のチェーンステーを定盤で重ねて、曲がり具合が同じようになっているか確認します。
チェーンステー図にチェーンステーを当てて、再度、各クリアランスが確保されている事を確認します。
各クリアランスが確保されていれば、エンド側に割りを入れます。
割りの箇所を確認するために、チェーンステー用の治具にエンドをセットし、どの角度で、どれ位深く割りを入れるかマーキングします。
リアエンド用の治具 |
マーキングにそって割りを入れます。
治具を設計図通りにセットし、チェーンステーを治具に載せます。
微調整をして、抑えで、チェーンステーが動かないように固定します。
治具に載せたまま仮付けをします。
エンドの上下2箇所を仮止めして、エンドの角度などを確認。良ければ、ロウ付けします。
上下2箇所留めます。 |
チェーンステーの中に、充分なロウが流し込めていることを確認して、終了です。
冷えたら、フラックスを落として仕上げをします。
仕上げが終わりました。 |
再度、チェーンステー用治具にセットします。
治具をそのまま横フライスに載せて、BB側のザクリをします。
セットします。 |
ザグリました。 |
バリをとります。 |
ザクリが終わったら、バリを取っておきます。
次に、完成している前三角とチェーンステーを合わせます。
治具に前三角とチェーンステーを、治具にセットします。
BBとチェーンステーの間に多少隙間があります。 |
前三角に当たるまで、前に押して、チェーンステーとBBの隙間を確認します。
今回は、右側が若干長かったので、少し削ります。
再度チェーンステーをBBに押し当てて、隙間を確認。
隙間がなくなるまで行います。
隙間がなくなったら、隙間の確認用に用意しているクランクを当ててみて、必要なクリアランスがあるか確認します。
ダミーのクランクを入れて、確認します。 |
インナーチェーンリングとの隙間が小さいので、潰しを入れることにします。
潰しを入れる箇所にマーキングをして、万力に挟んで、潰しを入れます。
左側の半円の板で潰します。 |
再度、治具にセットして、クリアランスを確認します。
充分なクリアランスが出来たので、次に、BBに水抜き穴を開けます。
チェーンステーの当たる部分をマーキングして、φ6mmの水抜き穴を開けます。
水抜き穴を開けたら、再度治具にセットし、仮付けをします。
上下2箇所を仮付けします。
下側 |
仮付けをしたら、定盤で確認をします。
ダミーシャフトに刻まれた線が中心線で、計測器の尖った先端が定盤の表面から120mmの高さにセットされているので、この線と先端が合うように、修正します。
少し基準より下がっています。 |
修正しました。
ぴったり。 |
チェーンステーに捻れもチェックします。
少し捻れていたので修正します。
チェーンステーを平行にします。 |
ロウ付けは下図の方向に進みます。
エンド側から見て。 |
BB周りのロウと段差がないように盛っていきます。
ロウ付けが終わり、冷めたら再度、定盤で確認・修正をし、フラックスを落として仕上げをします。
左右のチェーンステーのロウの高さ、傾斜が同じになるように仕上げます。
(仕上げ後の写真を撮り忘れてしまいました)
次回は、『シートステーの取り付け』を投稿いたします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
高橋
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