12回目の投稿をします。高橋です。
前回までの投稿で、前三角が形になりました。
今回の投稿は『チェーンステーの取り付け』を行います。
最初にリアエンドの下準備をします。
今回使用するリアエンドはSunrise cyclesのオリジナルエンドです。
このエンドの材質はS45Cで、レーザーカットで成形したものです。
レーザーカットした部材はレーザーの熱による酸化皮膜で黒くなっています。
酸化皮膜を取り除く為にトイレ用洗剤のサンポールを使います。
サンポールにエンドを浸して、しばらく待つと酸化皮膜が落ちるので便利です。
酸化皮膜を落としたエンドにステンレスプレートを貼ります。
ドライブ側のプレートがまだ出来上がっていないので、届き次第、貼ります。
他の部分はステンレスのワッシャーを銀ロウでロウ付けします。
![](https://2.bp.blogspot.com/-YZGbH3Vjyxs/V8N49P9uJKI/AAAAAAAABO4/BOer8HKLqIAWKuV4FTyVjTWGk70PBEfogCLcB/s400/IMG_2861.JPG) |
ステンレスのワッシャープレートを貼り付けます。 |
ワッシャーを貼り付けたら、割りを入れます。
![](https://4.bp.blogspot.com/-huQJhyUCW5o/V8N5ft0HdiI/AAAAAAAABPE/xC9Ueuyr2UQ2nVd-gWeEhdgrL274YQZMQCLcB/s400/IMG_2864.JPG) |
クイックリリースの入る部分は削ります。 |
次にエンドにネジ山をたてます。
エンドにはキャリア用ダボ穴とリアディレーラー用の下穴が開いているので、タップでネジ山をたてます。
キャリア用のネジ穴はM5×0.8
リアディレーラー用のネジ穴はM10×1.0
のタップを使います。
エンドの準備が出来たら、次にチェーンステーの加工をします。
チェーンステーを加工するときに、必ずチェックしなくてはいけない箇所があります。
・タイヤとのクリアランス
・チェーンリングとのクリアランス
・クランクアームとのクリアランス
各クリアランスは使用するパーツにより変わってくるので、その都度確認が必要です。
実寸を図を作成して、クリアランスを確認していきます。
![](https://1.bp.blogspot.com/-0sP1G1PFTaY/V8N5cJ--Y2I/AAAAAAAABO8/z8gIuWo_WqwRWHF3gKJIde9Fkhv7Q2_DQCLcB/s400/IMG_2905.JPG) |
毎回使用する部品に合わせて図をおこします |
チェーンステーを図に当ててみると、タイヤ、チェーンリング、クランクアームが当たってしまいます。
今回はBB寄りに曲げを入れます。
チェーンステー図に曲げの具合を書き入れます。
曲げ箇所をチェーンステーにマーキングします。
![](https://2.bp.blogspot.com/-N8a7XnE63-A/V8Nq31cEvLI/AAAAAAAABOQ/QlZlMhlME60Ny1ajKwMtOXvBvvBibywbQCEw/s400/IMG_2872.JPG) |
マーキングして、砂を詰めます。 |
径の太いパイプを曲げる場合は、パイプの中に砂を詰めて、火で炙りながら曲げていきます。砂を詰めることにより、パイプにシワがよるのを防ぐためです。
パイプの片端に栓をして、ジョウゴで砂を詰めていきます。
砂がしっかりと詰まっていないと、曲げたときにシワがよってしまうので、注意が必要です。
砂がしっかりと詰まったら、ガムテープで蓋をします。
万力にセットして、曲げていきます。
![](https://3.bp.blogspot.com/-sb2EGnq6Iks/V8Nq3lSfu8I/AAAAAAAABOQ/OPUfzRW6c1YO0ERvR7boeYLWw-sSFRLkQCEw/s400/IMG_2877.JPG) |
真横から炎を当てます。 |
![](https://3.bp.blogspot.com/-gGPqRrQsHiA/V8NrjgCItmI/AAAAAAAABOQ/Zm16t7JvnlUd2LmUbTU39964QD7EyLqLQCEw/s400/IMG_2883.JPG) |
こんな感じで炙ります。 |
曲げる箇所のパイプの中央に、直角に火を当てます。
火を1箇所に当てるのではなく、ゆっくりとずらしながら、均一に温度を上げていきます。
温度が上がってきたら、じんわりと力を入れて、曲げていきます。
この時に、急に力を入れるとシワがよったりするので、徐々に曲げます。
イメージに近い曲がり具合になったら、一旦、万力から下ろし、チェーンステー図で、曲がり具合を確かめます。
反対側も同じように曲げます。
チェーンステーが冷めたら、両方のチェーンステーを定盤で重ねて、曲がり具合が同じようになっているか確認します。
チェーンステー図にチェーンステーを当てて、再度、各クリアランスが確保されている事を確認します。
各クリアランスが確保されていれば、エンド側に割りを入れます。
割りの箇所を確認するために、チェーンステー用の治具にエンドをセットし、どの角度で、どれ位深く割りを入れるかマーキングします。
![](https://1.bp.blogspot.com/-tZ4NNCyPJ_M/V8NrgGbadPI/AAAAAAAABOQ/slA6LulYELMwk-rCLTLyfHpUhTofGN72gCEw/s400/IMG_2911.JPG) |
リアエンド用の治具 |
マーキングにそって割りを入れます。
治具を設計図通りにセットし、チェーンステーを治具に載せます。
微調整をして、抑えで、チェーンステーが動かないように固定します。
治具に載せたまま仮付けをします。
エンドの上下2箇所を仮止めして、エンドの角度などを確認。良ければ、ロウ付けします。
![](https://2.bp.blogspot.com/-f-RfqOCyh5Q/V8Ns8gAdfdI/AAAAAAAABOQ/ZvoUSWzDCB0x103ol-nXaoHl8mCtqWGoQCEw/s400/IMG_2931.JPG) |
上下2箇所留めます。 |
チェーンステーの中に、充分なロウが流し込めていることを確認して、終了です。
![](https://3.bp.blogspot.com/-ziCTsN7O05I/V8Ns_vOX1jI/AAAAAAAABOQ/_lwqW3CQVnonC96iPLO6ZJiTQUQZE8F1ACEw/s400/IMG_2936.JPG) |
エンドのデザインをするため、少し多めにロウを盛ります。 |
冷えたら、フラックスを落として仕上げをします。
![](https://3.bp.blogspot.com/-OPrrr9IO8Js/V8NtCoTbQgI/AAAAAAAABOQ/zPj8RD2wt8U2PN_KVldfIhyvhBoNIgElwCEw/s400/IMG_2938.JPG) |
仕上げが終わりました。 |
再度、チェーンステー用治具にセットします。
治具をそのまま横フライスに載せて、BB側のザクリをします。
![](https://3.bp.blogspot.com/-NXz8xIVWZUc/V8Nt2u7ElPI/AAAAAAAABOQ/hw9WynzaLy88-ybMLrqWeq3Fbq-NBlDJgCEw/s400/IMG_2947.JPG) |
セットします。 |
![](https://2.bp.blogspot.com/-YIGyATluUx4/V8Nt7F2YQXI/AAAAAAAABOQ/Pwoek-L_UlU0xE_PR0V1afSxfen2UHT8gCEw/s400/IMG_2951.JPG) |
ザグリました。 |
![](https://3.bp.blogspot.com/-hflqL2aJbRg/V8NujyKUh-I/AAAAAAAABOQ/CXNSrDC7dxEKkjoTMTV5E8NQkwyuBKOxwCEw/s400/IMG_2953.JPG) |
バリをとります。 |
ザクリが終わったら、バリを取っておきます。
次に、完成している前三角とチェーンステーを合わせます。
治具に前三角とチェーンステーを、治具にセットします。
![](https://3.bp.blogspot.com/-bBjesH7xDKg/V8NulPh7YPI/AAAAAAAABOQ/WokvnpXXJmgR4ZVS7O3kvB4VeUwPz2vqQCEw/s400/IMG_2975.JPG) |
BBとチェーンステーの間に多少隙間があります。 |
前三角に当たるまで、前に押して、チェーンステーとBBの隙間を確認します。
今回は、右側が若干長かったので、少し削ります。
再度チェーンステーをBBに押し当てて、隙間を確認。
隙間がなくなるまで行います。
隙間がなくなったら、隙間の確認用に用意しているクランクを当ててみて、必要なクリアランスがあるか確認します。
![](https://4.bp.blogspot.com/-QG1SCYCS8bw/V8NvcNOpM-I/AAAAAAAABOQ/SphfTeZWZ1Q1cFRecsM3o3X1k4pSp81OgCEw/s400/IMG_2976.JPG) |
ダミーのクランクを入れて、確認します。 |
インナーチェーンリングとの隙間が小さいので、潰しを入れることにします。
潰しを入れる箇所にマーキングをして、万力に挟んで、潰しを入れます。
![](https://3.bp.blogspot.com/-MczUydD8EMI/V8Nva-ebkcI/AAAAAAAABOQ/dg83bD0c1-Y5A3HrauJcK3aRQwJSqBBQwCEw/s400/IMG_2982.JPG) |
左側の半円の板で潰します。 |
再度、治具にセットして、クリアランスを確認します。
充分なクリアランスが出来たので、次に、BBに水抜き穴を開けます。
チェーンステーの当たる部分をマーキングして、φ6mmの水抜き穴を開けます。
水抜き穴を開けたら、再度治具にセットし、仮付けをします。
上下2箇所を仮付けします。
![](https://1.bp.blogspot.com/-g8S5FW2EcBA/V8NwPONilCI/AAAAAAAABOQ/jyXR-Pc5c7sP2fD3aqwQ0nCjACivVm5UwCEw/s400/IMG_3000.JPG) |
上側 |
![](https://4.bp.blogspot.com/-Yw-EVAfr0CU/V8NwRgu8KmI/AAAAAAAABOQ/THlQnFr8VWQa0q-pcI3dbzkuuC0Fi-a9ACEw/s400/IMG_3002.JPG) |
下側 |
仮付けをしたら、定盤で確認をします。
ダミーシャフトに刻まれた線が中心線で、計測器の尖った先端が定盤の表面から120mmの高さにセットされているので、この線と先端が合うように、修正します。
![](https://2.bp.blogspot.com/-aCVkYq6kvf0/V8Nw_7UJC2I/AAAAAAAABOY/Y1B_GKh1no8hqYj4PIs-VZzYdThCSmwqQCEw/s400/IMG_3004.JPG) |
少し基準より下がっています。 |
修正しました。
![](https://4.bp.blogspot.com/-LOjlRthwgYg/V8Nw-6VweTI/AAAAAAAABOU/tRIdC6R2tD0nddwR7m4B6R6cGJgJCOU3wCEw/s400/IMG_3006.JPG) |
ぴったり。 |
チェーンステーに捻れもチェックします。
少し捻れていたので修正します。
![](https://2.bp.blogspot.com/-wfHTjmDP-z8/V8NxFlWEGnI/AAAAAAAABOc/mAqQVIwEcN8wASqvbklTp9_zZXKIk06sQCEw/s400/IMG_3008.JPG) |
チェーンステーを平行にします。 |
ロウ付けは下図の方向に進みます。
![](https://1.bp.blogspot.com/-iAslNR8jZ_U/V8N7JBEAFVI/AAAAAAAABPM/snEOu8Y3bm8euKAGAHgjXzwRvUouxo8iQCLcB/s400/%25E5%2590%258D%25E7%25A7%25B0%25E6%259C%25AA%25E8%25A8%25AD%25E5%25AE%259A.jpg) |
エンド側から見て。 |
BB周りのロウと段差がないように盛っていきます。
ロウ付けが終わり、冷めたら再度、定盤で確認・修正をし、フラックスを落として仕上げをします。
左右のチェーンステーのロウの高さ、傾斜が同じになるように仕上げます。
(仕上げ後の写真を撮り忘れてしまいました)
次回は、『シートステーの取り付け』を投稿いたします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
高橋